Aston Martin One-77 Cycle
今回、イギリス本国でアストンマーティンが発表したロードバイクは「One-77 Cycle」。同社が世界限定77台でリリースしたスペシャルモデル「One-77」と同じ名を冠し、同郷イギリスの小規模スペシャルバイクブランドFactor社が製作したスペシャルモデルだ。
「One-77」がカーボンファイバーモノコックと伝統の手作りの技の融合を計ったように、この「One-77 Cycle」もまた、最先端技術とアストンマーティンらしいラグジュアリーさを兼ね備えたロードバイクとなっている。
まずフレームはロードバイクの素材としておなじみのカーボンファイバー製。ダウンチューブとシートチューブが双胴になっているのが面白い。ホイールもまたカーボンファイバー製だ。フロントフォークは通常のロードバイクと違い、モーターサイクルもしくはDHバイク的なダブルクラウンタイプで、ワンピースのオリジナルカーボンハンドルバーと接続される。このハンドルバーには液晶画面が埋め込まれており、これがサイクルコンピューターの役割を担っており、ライダーのトルク、回転数、出力(左右の個別の脚力も検出可能)などの情報を表示する。
さらにブレーキは油圧ディスクブレーキ。今年からイタリアの名門コルナゴなどを始めとしていくつかのロードバイクブランドがトライをしているこの油圧ブレーキだが、このバイクを製造したFactor社は以前より独自にロードバイクへの油圧ディスクブレーキ化をしていたので手慣れたもの(ちなみに一時期はMcLarenと協業もしていた)。さらに変速系は日本のシマノの最上級パーツ、デュラエース7970系をスペックイン。この変速システムは、ディレイラー(変速機)を通常のワイヤーで動かすものではなく、電動で動かす最新のものである。デュラエースに油圧ディスクブレーキはラインナップされていないため、独自にこのブレーキレバーで油圧ディスクを動かすためのパーツをこれまたイギリスのブレーキメーカー、HOPE社に作らせている。
アストンマーティンらしいのは多彩なフレームカラーとサドルやバーテープ(ハンドルバーに巻き付けるすべり止めの布ないしは革製のテープ)の組み合わせが選べること。
純粋にロードバイクとして見た時には、総重量が9.5kgと重めなこと(レース用のものは6.8kg)などレースで勝つためなら専業メーカーのトップモデルの方がいいかもしれない。だが、すべてにおいて最新テクノロジーを用い、細部に至るまでこだわりとオリジナリティに富む。このスポーティーでありながらシックでラグジュアリーな雰囲気は、自転車専業メーカーには真似のできないものであり、これ以上ないくらいアストンマーティンらしい一台といえるだろう。
なお、販売台数はクルマと同様に77台の限定である。